祖母の思い出

祖母はガンコではありましたが、いい人でした。

とてもかわいがってもらいました。

でも果たして恩返しはできたのでしょうか。
今となってしまえばわかりません。

ボクが2歳か3歳のころ心臓病の兄の大きな手術がありボクは母の実家の祖母の元に預けられました。

この小さい時の経験は実際にはボクの人生をも変えました。

今でも鮮明に覚えています。
なぜか夜の国道6号線を祖母と散歩していました。
「オカーはどこにいるの?」
「あの山の向こうだよ」
当時、本当に歩いて山を越えようかと思いました。

でも今考えるととてもおかしいです。
祖母が指した奥羽山脈の向こうは母のいる東京どころか郡山市でした。
行かないでよかったです。

そのころにある約束をしました。

「大きくなったらこっちに来るから」

そんな小さなときにした約束は守る義理もありません。
でも祖母も田舎も好きでした。

だから高校卒業と同時に富岡町に引っ越しました。

それはさておき、学生時代も休みのたびに富岡町にいる祖母の元に遊びに来ていました。

よく祖母と兄とボクと町に歩いて買い物に出かけました。
町に行って帰ってくるだけでほぼ1日がかりでしたのでそう毎日は行くことはできませんでした。
だから町に行くというとすごく喜びました。
ボクが小学校の時に「トムトム」ができました。
今で言うちょっとしたショッピングモールです。
そこでよく買い物をしました。

帰りにはたい焼きや夏だったらアイスを買ってもらいました。

天神岬公園に遊びに行ったことも思い出します。

ボクは重いラジコンを専用のカバンに入れて、それを肩から下げて出かけました。
小学生のころの夏休みだったと思います。

途中、自動販売機があったので100円を入れました。
当時はすべてカンジュースは100円でした。

ん?

でも何も出てきませんでした。
兄はそれを「誰かの貯金箱」と言っていました。
まぁ、貯金箱であればカンジュースは出てこなくて当然でした。
実際は壊れていたということだったのでしょうね。

兄が釣り好きだったので海に釣りにも行きました。

四倉港ではハゼばかりでしたが、たくさん釣れました。
たまにフグも釣れて、膨らんでいるところに針を刺したらどうなるのだろう?などと考えていました。

夜、兄とケンカをすると家じゅうの電気を消して出ていき、しばらく帰ってきませんでした。
あれはどんな意味があったのだろうか?

とてもいい思い出です。

そんな祖母はだいぶ苦労してきたようでした。
若いうちにダンナを戦争で亡くし、母を1人で育てたと聞きます。
女一人だったから周りからも馬鹿にされもしたそうです。
貧しい生活を強いられたそうです。
時代も時代だったのでしょうけど、ウジの湧いた味噌で味噌汁を作った話など聞きました。

本家と分家との関係でどんなに風邪をひいていても田植えに駆り出されたりと。
だいぶ苦労したようです。
だから正直ボクは本家の人は嫌いです。でもほとんどボクの代になればかかわり合いはありません。

改築するまえは本当にボロ屋敷でした。
でも、数年前に改築したところでした。
それが原発事故によりまたぼろぼろになってしまいました。

そんな祖母ですが、最後の方はすっかりボケてしまいました。
ボクの車の上に石並べたり。
車は大事にしていたので怒鳴ってしまったり背中を叩いたりしてしまいました。
本当はどんなにボケても人間の方が大事なのです、叩いたりしてはいけなかったのです。
だからかわいがってもらった恩返しができたかというと、それは全くわかりません。

亡くなったのは地元では「人殺し病院」として知られる双葉町の病院でした。

今回の震災でも多くのお年寄りが置き去りにされ亡くなったそうです。
病院側にも言い分はあるのでしょうが、昔から評判は悪かったのです。

当時そんな評判も知らずに肺炎になってしまった祖母を預けました。

亡くなった後で病院から説明を受けました。
それがとても残酷な扱いでした。
弁護士にも相談しましたが、完全に医療ミスでした。
母は争いたくないからと裁判にはしませんでした。

ある日何かを喉に詰まらせてしまったそうです。
だから緊急ということで麻酔もしないで喉を切開したそうです。
どんなにボケていても、どれだけの苦痛だったか。
とても無念です。
お年寄りでも人間なのです。なんでそんな残酷な事ができたのかと腹が立ちました。

結果的に数時間後に亡くなったそうです。

一生涯苦労し続け、最後も無念な亡くなり方をさせてしまいました。
申し訳ありませんでした。

母には絶対にそのような経験はさせたくはありません。

猫之介

投稿者: 猫之介

富岡町の住人です。原発事故により避難生活を余儀なくされています。かつての愛猫のしま次郎を探しています。どうか無事でいますように・・・

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です