鬼怒川温泉脱出計画

このままでは体を壊してしまう。

そう感じて何とか鬼怒川温泉から抜け出すことを考えました。
食べ物が悪いせいもあり母も便秘がなかなか治らないということでした。

そして以前に勤めていた南相馬市の会社から連絡が来たこともアパートを借りなくてはならないという決意を後押ししました。
「震災から3ヶ月は待つけど、それまで戻れない者は退職してもらいます」ということでした。
ガケから突き放される思いもしましたが、3ヶ月は会社の方で社会保険料を払ってくれるということでした。

なんとかアパートを見つけないと。
できたらねこもいるので古くてもいいから1軒屋に住みたいと思いました。

残された時間はあまりないように感じました。

それにどういう経緯か忘れてしまいましたが、町の方でアパートを借上げて家賃を払ってくれる「借上げ住宅」の制度があることも知りました。

でも、情報量は極端に不足していました。
家を借りるにしてもどうやって調べたらいいでしょうか?

こっそり自宅に帰った時に自分の古いノートパソコンを持ち帰ってきてありました。
それでauの通信カードを契約することにしました。
USBタイプでノートパソコンと通信カードがあれば、携帯電話のようにどこでもネットにつながります。

そうして設定に少し手こずりましたがなんとかネットにつながりました。

ただ今度は、古いノートパソコンだったので処理速度が間に合いません。
そこでさらに、決して安い買い物ではありませんでしたが、通販で最新のノートパソコンを購入することにしました。

そうしてなんとかネットで情報を得る環境を整えることができました。

それからさんざん調べましたが、なかなかいい物件はありません。
いい物件があってもうかうかしているとすぐに借り手が決まってしまいます。

それもそのはず会社がある浜通りは津波の被害にあり宮城県から福島県まで全域で住宅が不足していました。
でも、会社に通える範囲でないといけませんでした。そうなるとやはり太平洋側に限られてしまいます。

また、ペット可の物件であることも大前提でした。
ねこはもはや大事な家族でした。
一緒に避難生活を乗り切ってきたのです。

5月終わりか6月にはいったばかりのある日、南相馬市の方で古いアパートの1室が掲載されていました。
ペット可でした。

それで意を決して栃木県から福島県浜通りまでその物件を見に行くことにしました。

さすがに遠い。片道5時間はかかりました。いつものことながらボク1人の運転でした。

あー、やっと着いた。

不動産屋さんの敷居をまたぎました。

しかし、何とすでに決まってしまった後でした。

折角来たのに・・・

でもせっかく来たからあきらめられません。
何かあった時のためにと、ノートパソコンと通信カードを持ってきていました。

車の中で浜通りの不動産屋さんを調べ、片っ端から電話しました。

でもなかなかダメでした。

あきらめかけていたその時、仙台の不動産屋さんではありますが、ちょうど空いた物件があるという事を聞きました。
なんでも今まで借りていた人が出たばっかりでネットにもまだ掲載されていない物件とのことでした。
そしてしかも1軒屋でした。
大家さんにペットを飼ってもいいか聞いてくれるということでした。

それでお願いして、その日は帰ることにしました。

帰り道の高速道路で早速連絡がありました。

結果はペットも許可してくれるということでした。
ただ、2年以上は借りてほしいということでした。

名取市から南相馬市まで決して近くはありません。
でも、選択肢は他はありませんでした。

それで後日契約することにしました。

鬼怒川温泉のホテルに着いたのは11時過ぎでした。

つづく

猫之介

投稿者: 猫之介

富岡町の住人です。原発事故により避難生活を余儀なくされています。かつての愛猫のしま次郎を探しています。どうか無事でいますように・・・

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